中小企業が成長するためのSR経営

中小企業が環境変化に適応する為に必要な経営スキルをお伝えしていくブログです

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数字と真摯に向かい合う事で避けられる危機がある

未来の戦略を正しく立案する為の第1歩は自社を知りつくすことである

企業は環境適応業と呼ばれます。
その環境が予測不能の方角に
予測不能のスピードでかわろうとしています。
その変化を出来るだけ正確に予測し、
正しく対応する為には、自社が今立っているところと、
自分自身の事を出来るだけ正確に
知る事が最初の一歩になります。
 
しかしながら、他者や他人の事はあれほどよく解るのに、
こと、自分のこととなるとなかなか解らないくなってしまいます。
その最たる原因は、思い込みです。
『まかさ我社はそんな事はない』『うちは大丈夫だ』
そんな根拠のない楽観論を、
不思議なくらい当たり前に信じ込んでしまいます。
自社の事業や商品に思いが強ければ強いほど、
メガネの曇り加減は強くなってしまいます。

過去の数字が教えてくれるもの

しかしながら、そんな思い込みを吹き飛ばして、
明確に今の自社とこれから想定される未来の自社を
イメージさせてくれる強い味方があります。
それは、いままでの実績数字です。
数字は明確であり、嘘をつきません。
この数字から、大切なヒントを教えてもらう事が出来ます。

過去から見える傾向値

その1つが、数字の趨勢です。
全社の売上、事業別の売上、利益、利益率などの
ここ数年の趨勢を比較します。
たとえば、Aという事業は徐々に下がってきているとします。
ここでいくつかの事が想定出来ます。
1)競合他社が、この事業に参入しシェアを奪われている
2)商品がすでに成熟期を迎えニーズが減少している
3)新たな新商品がどこかで開発されシェアを奪われている
4)主要顧が自社で自ら生産を始めた
これらの想定のどれが真実かによって、わが社の取るべき
対策は大きく変わってきます。

我が社の判断力を曇らせる過去の成功体験

冷静に判断したいところですが、ここで邪魔者が登場します。
それは『昔はこれでうまくいったんだという成功体験です』

この体験はインパクトが強く、脳裏にしみ込んでいるだけに
誤った、しかし説得力のある言葉を投げかけてきます。

『上手くいかないのは、頑張りが足らないからだ』と。

しかし、環境が変われば、成功要因(KSF)も変わります。
すると正しい方法も変わります。

過去のやり方を頑張るという事は、失敗に向かって
頑張る事にもなりかねません。

いくつかの事実を組み合わせる

1つの傾向値だけでは、仮説を立てる事は出来ても、
確証には至りません。

そんな時は、いくつかの傾向値を組み合わせて考えてみます。
利益率はどうなのか。これも低下しているとすれば、
価格競争が起きていることが想定されます。

顧客別ではどうなのか。
ある特定の顧客だけの減少であれば、何らかの方針の変化、
事情変化が予見されます。

一過性か、変えられない大きな流れなのか

ここで一番大切な事は、この傾向がたまたま起こっている
一過性のもので、いくつかの対策を講じれば、また元に戻る
ものなのか、

あるいは、すでに変える事が出来ないほどの大きな流れの
兆候なのか。

もし後者であれば、これは近い将来、わが社に大きな
ダメージを与えることになります。

今、打つべき手を明確にする

しかし、多くの企業が今を頑張ってしまいます。

これを間違った頑張りと言います。
この頑張りを続けていては、いずれ致命傷を負ってしまいます。

致命傷を避け、発展するための打つべき手を見極めて
正しく確実に実行する。

そのことを教えてくれるのが過去からの数字です。

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趨勢比較


大切なのは数字に対する素直な心

経営者は厳しい数字にはつい、目をそむけたくなるものです。
ちらっと見るだけで、深く考える事をなおざりにしてしまいがちです。

しかし、大切な事は、数字に対して真摯な気持ちで向き合い、
会話することで、初めてその背後に隠れている重要な
ポイントが見えてきます。

数字は経理と税理士任せでは、決して気付くことのない
とても大切な事なのです。