企業を取り巻く環境は日々変化を遂げています。
そして、そのスピードは近年、すさまじい勢いになってきました。
多くの中小企業経営者は、この激動の変化の中で
『いかにして生き残っていくか』を日々模索しています。
そして、その選択肢の中の1つがM&Aです。
M&Aはすでに日本での認識も上がってきた合併(Merger)と買収(Acquisition)の頭文字をとったいわゆる、会社を統合することで新たな価値を生んで行く手法です。
M&Aの目的
M&Aには様々な目的がありますが、その主たるものは、
双方の会社がシナジー効果を出しあい、現在よりも、
より大きな成果(利益)を生み出す事です。
不足している経営資源を補完しあう事や、保有している経営資源、
商品や、販路などを共有することで、より多くの価値を生み出す事。
あるいは、重複している業務を共通化させる事で、
生産性を向上させることなどが考えられます。
契約締結は、はじまり
M&Aの契約締結までには、DD(デューデリジェンス)と言われる
専門家による調査が行われます。
主には事業性の評価と法務の確認が主なものになりますが、
これらが修了し、トップ同士の調印式が合併のクロージングのように
思われがちですが、これからが本番です。
何故なら、企業の文化も経営の方法も違う2つの会社が
一緒に成果を上げていくためには、様々な改善が必要になるからです。
M&Aの先進国であるアメリカでは、この統合後にいかに
成果を上げるかを、PMI(Post Merger Integratin)=合併後の経営統合
と呼んで重視しています。
このPMIなしでは、M&Aは上手く進行しないと言っても過言ではありません。
何故なら、企業とは生き物であり、人間という感情を持った人達の集まりだからです。
単なる、ルールや評価だけで人は動きません。
これらを軽視しては、求める成果は期待できません。
PMIは締結前から始まっている
PMIはM&A締結後にスタートすると思われがちですが、
締結に向かって進行している時から、準備が必要です。
なぜなら、買収される側の社員さんが、この情報を
知った瞬間に様々な不安や誤解が生じてしまう可能性がある為に、
それらを予見して打つべき手を打っておかなければなりません。
買収される企業は、そのほとんどが初めての経験です。
経験がない企業が万全を期してM&Aを実行していく為には、
過去の事例に学び、それらを自社に置き換えた、方策を
正しく選択して行く事です。
まとめ
私は約100年続いてきた企業をM&Aにより、売却しました。
売却後も統合会社に残り、このPMIに取り組んできました。
中小企業のオーナー経営者にとって、会社というのは、
家族同様です。単にモノを売ったり買ったりするのとは
訳が違います。
誰にも言えない、様々な感情がうごめいているものです。
もちろんそこで働く社員さん達も同じ事が言えます。
その人間の心を大切にしつつ、変えるべきを変えていく。
断じて行うべき事と、慮りながら進めるべきところのバランスを取って進めていく。
これは、決して教科書どおりには行かない、
深い思慮を伴ってはじめて成し得る事ではないかと思います。
買う方、買われる方、双方がハッピーになる為のPMI。
その全容から細部にわたるまでをこのブログで
お伝えして行こうと思います。