M&Aによって統合された企業がシナジーを発揮して、
発展し、社会に貢献し、そこで働く社員が幸せになっていく。
これがM&Aの目的であることは間違いのない事でしょう。
しかし、どんな成長をしていくために、なぜこの企業を選んだのか?
そこが最初に明確に設定されていないと、その後に行っていく
PMIの方法も変わってきます。
シナジーには大きく分けて、売上を拡大していく方法と、
コストを効率化していく方法の2つに大別されます。
売上拡大シナジー
売上を拡大するために、新たな顧客や販売ルートを獲得する。
なかなか獲得できなかった地域や、業界への進出により、
大きく事業を拡大させる方法がこれにあたります。
あるいは、買収企業の持っているブランドや商品を持つことで、
現市場への売上拡大が見込める場合もあります。
そして、企画開発力や、生産技術力といった、短期間では
なかなか手に入れる事が出来ないものを一気に保有することが
出来るのも、M&Aが成せることです。
コスト効率化
一方、重複するインフラ、例えば物流機能や、
社内の管理システム、営業ツールや、社内の機能
(総務機能や、福利厚生機能)などを共有化することで、
大きなコスト削減や効率化が果たせる可能性も出てきます。
たとえばそれぞれの企業で個別に販促活動を行っていたものを
統合することで、販売商品の幅はひろがり売上拡大に
つながる可能性があり、かつ広告宣伝費は半分ですむような
ケースも出てきます。
DD(デューデリ)で明らかにすること
買収前には、DD(デューデリジェンス)といわれる、
様々な調査が行われます。
主には、財務DDと法務DDに分かれます。
財務DDは買収する企業にいくらの価値があるかを
決めるものですから、商品力や、営業力、のれんの力、
などが財務的に評価されます。
一方、法務DDでは、買収後に裁判になるような
案件がないかどうか、思いもかけない、企業価値を
棄損するような事が隠れていないか。
あるいは、引き継いだ社員との間で、トラブルになるような
事はないかなどを調査していきます。
シナジーを明確にしていく
これらDD(デューデリジェンス)は、先にあげた
M&Aの目的である、シナジーを発揮してより大きな成長を
目指していくための、いわば前準備にすぎません。
つまり、DDをしっかりやって、M&Aの調印を
終えたから上手くいくわけではないのです。
ようやくスタートにたっただけの事。
大切なのは、DDで調査したことを元に、
どうシナジーを発揮していくかという事です。
まとめ
2つの文化が違う組織が一緒になって
より大きな価値を生み出していくのがM&Aだとすれば
どんなシナジーを生み出すことで、その成果を
達成していくのか。
それが何故M&Aをやるのかの答えになります。
その答えが明確であり、携わるすべての人に
共通に理解されていなければ、せっかくの
M&Aは方向性を見失い、時間と資源の大きなロスを
招きかねません。
その為にも、明確なPMI戦略が必要になってくるのです。